20代で友人と起業し、様々な人たちとの出会いを通じて、常にエネルギッシュかつ軽やかに走り続けるエイタブリッシュ代表 川村明子さん。
デザイナー,コンサルタント、飲食店オーナー、絵本作家 etc…様々な顔をもつ川村さんのベースにあるのは、クリエーションとクライアントに対する深い愛情でした。
− 現在の仕事について・今の仕事を始めるきっかけ、会社設立時のお話を聞かせてください。
91年〜93年にニューヨークの美大に留学して、デザインの勉強をしていました。 93年の卒業後に日本の企業に入社して、のちに一緒に会社を設立することになる清野に出会ったんです。その後、97年に「ダブルオーエイト」というデザイン会社を立ち上げました。ダブルオーエイトという名前をつけたのは、映画「007」のグラフィックが好きすぎる!!と、いうのと、2人の誕生日に、2と8がつくから、というのが理由です。
− 設立当初から仕事は忙しかったですか?
会社を設立した頃は、企業がホームページを作り始めていた時期で、初めての仕事が大手企業のホームページ作成でした。当時は、クラブ文化全盛期だったので、仕事の後、朝5時まで遊んで、うどん食べて帰って寝る、というような毎日を送ったり、大きな仕事が入ったあとはニューヨークで1ヶ月くらい遊んだり(笑
まだ女性2人で会社をやっている、というのが珍しかったのと、私たちの作風が女性でも男性でもない、日本人なのか外国人なのかわからない、というところを面白がってくださって、何かしらずっと仕事は頂いていました。遊びに行った先でたくさんの人と出会って、それがまた仕事にも繋がって…という循環がとても面白かったです。
− そういう出会いの中から新しい仕事が色々生まれたのですね
最初の事務所は、住居兼の3LDKのマンションでした。周りには、デザイナーはもちろん、スケーターや、サーファーや、グラフティのアーティスト等がたくさんいました。
毎日夕方になると誰かしらが遊びに来て、毎日がパーティ状態。時には海外の有名クリエイターがくることもあったりして、様々なカルチャーが交錯していました。
そんな日々の出会いの中で、2000年に大きなプロジェクトがいくつも重なったんです。
そのうちの1つが、インテリアショップTIME& STYLEの吉田社長との出会いでした。
ちょうど青山に新しいお店をオープンするというタイミングで、吉田社長と色々な話をしていくうちに、一緒にヴィーガンカフェ「Cafe8」をオープンすることになりました。同じ年に、インテリアデザイナーの間宮吉彦さんに声をかけてもらって、堀江(大阪)にあるギャラリー&カフェスペースで個展をやらせてもらったり、仲間と一緒にインディーズ映画『5POISONS』 (Eiji Matsui 監督)の制作〜上映イベントも手がけました。
その後、カフェの方もかなり忙しくなってきたので、2003年に「カフェエイト」を法人化して、デザインの仕事と飲食業を別々の会社にしました。
「日々「今日は今日でやり切った!」という実感を持っていたい。究極のポジティブシンキングなんです。」
− とてもたくさんのプロジェクトを手がけてこられましたが、そのエネルギーの源は何でしょう?
とりあえず、思いついたことは全部やってみる。常に、自分が死ぬ時に、やり残したことがない状態でいたい。日々「今日は今日でやり切った!」という実感を持っていたい。
究極のポジティブシンキングなんです。
− クライアントワークでも様々なアイディアを提供されていると思いますが、それはどのように生み出しているのですか?
デザインの仕事と飲食の仕事を両立したことで、クライアントに対してブレないアドバイスができるようなって来ました。クライアントと話していると、例えば将棋の人たちが何十手先まで読むように、色んなビジョンが見えてくるんですよ。
そして、何よりも相手に喜んでもらう、目の前にいる人を喜ばせるというのが大事。
クライアントからの相談を形にするときは、「これ、あの人が好きだろうな〜」と相手の顔を思い浮かべて、ニコニコしながらアイディアを書き出したりしています。
デザインを押し付けたり、考えを押し付けたりしない。相手が「わ〜!」って思ってくれることが一番大事だと思っていますし、デザイナー=商業デザイナーだから、結果を出すことが重要です。
自分と関わったら、立場に関係なく、全力でサポートする、という気持ちでやっています。
− 会社の運営、特にスタッフと共に動かれる中、一番大切にされている点を教えてください。
2019年6月から、清野との共同代表から、自分が代表者になりました。(清野さんは現在高知在住。外部ブレーンとして一緒にプロジェクトは継続中)
そのとき、他社のブランディングも大事だけど、自社のブランディングこそ大事だと気づき、スタッフに向けて30Pくらいのブックを作って、今後のビジョンを伝えました。
今も常に自分の考えを共有して、コミュニケーションをとっています。
例えばお菓子を作るスタッフがいて、自分がパッケージのデザインをやる。それは社長とスタッフという関係性ではなく、クリエイター同士のセッションだと思ってやっていて、一緒に次のステージを目指していこう、というスタンスでスタッフと対峙しています。
自分でたくさん動いて、その姿を見せる、ということも大切だと思います。
「どういう状況でも、クリエーションして行くことが、
とにかく好きなんです。」
− コロナ自粛期間中に何か始められたことはありますか?
お店をお休みしている間は、経営としては正直大変だけど、大変なのはみんな同じ。
発想の転換をして、営業できない2ヶ月半は「素敵なデザイン事務所にしよう!!」と決めて、コピー機を持ち込んで快適に仕事ができる環境を作りました。
どういう状況でも、クリエーションして行くことが、とにかく好きなんです。
− 自身のライフスタイルやファッション等で、「自分だけのスタイル」としてこだわっている点を教えてください。
家オタクが高じて、自分の家を自分でデザインしたんです。施工会社さんと直接打ち合わせしつつ、改良に改良を重ねて理想の空間を作りました。
この家にもたくさんの友達が遊びに来てくれますが、それがご縁で住宅雑誌に掲載されることもあります。
− 最後にお店のリニューアルと今後の計画について教えてください。
2020年6月、ヴィーガンレストランからパーラー「エイタブリッシュ」へ リニューアルしました。子供の頃に通ったパーラーの懐かしくてワクワクする感覚を表現したかったんです。ヴィーガンやグルテンフリースイーツを中心に、食やオーガニックワインなどを提供していきたいと考えています。
そしてもう一つ、アポロ&チャーという会社では、絵本を出版したり、ペットのための商品開発もしています。
先ほども言いましたが、「思いついたことは全部やる」「やったらやった先の未来がある」と思っているので、これからも大好きなクリエーションを通じて、たくさんの人に愛情を伝えていきたいです。
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